BooksChannelという街の本屋でギターを買った、忘れられないお客様の話
今月は有難いことに、店頭でギターを続けて2本お買い上げいただきました。どちらも思い入れのあるギターでしたが、特に印象深かったのが、Fenderのアコースティックギターをご購入くださったご年配のお客様との、ある午後の出来事です。
その日の午後、お店に響いてきたのは、少し大きめの歌声でした。どうやら、かなりお酒を召し上がっていらっしゃるご様子で、楽しそうにJOHN LENNONの「イマジン」を口ずさみながらご来店されたのです。午後の光が差し込む店内に、その歌声が響いていました。
店内に入られたお客様の視線が、店頭に配置してあったFenderのアコギに止まりました。そして、そのギターをご覧になった瞬間、少し呂律が回らないながらも、はっきりとした口調で仰いました。
「これ、ちょうだい」
続けて、「ピックある？ 豚ちゃうで… ピックやで」と、ご自身の言葉に自分でツボに入られたのか、大声でゲラゲラと笑い始められました。その様子は、まるで子供のように無邪気で、とにかく明るいオーラを纏っていらっしゃいました。午後の穏やかな空気が、その陽気さに包まれたかのようでした。
「いくら？」
と聞かれたので、金額をお伝えすると、「うん、ちょっとお金取ってくるわ」と仰って、一度お店の外へ出られました。正直なところ、そのまま戻って来られないのではないか、という一抹の不安もよぎりましたが、信じてお待ちすることに。
しばらくして、お客様は無事にお戻りになり、「はい」とレジにお金を置いてくださいました。無事にお渡しできることに安堵しつつ、このままギターを持って帰られるのだろうか、大丈夫だろうか、と心配していた私の耳に、次のお話が飛び込んできました。
「オレは、ギターなんて弾かれへんのや。友達が、このところエライ『クサッとる』（落ち込んでいる）んでなぁ… このギターでも弾いて、元気だせ!!と言おうと思ってんねん」
そう仰って、少し照れたように付け加えられました。
「いわゆる、プレゼントや～」
その言葉を聞いた時、私の胸に温かいものが広がりました。
酔った勢いでの衝動買いに見えましたが、その根底にあったのは、友達を思う純粋な気持ちと、何か行動を起こして友を励ましたいという温かい心でした。その行動力、そして何よりも友達を大切に思う気持ちに触れ、私はこう思いました。「この方は良い人だ」。
そして同時に、見ず知らずの私に、そんな大切な思いを打ち明けてくださったこと、そしてその温かい気持ちがお店にも流れ込んできたような気がして、何か良い風をいただいたような、清々しい気持ちになりました。
まさか、町の本屋で、ある午後に、泥酔したお客様が友達のためにアコギを買っていく、そんな出来事が起こるとは…。
心より、ありがとうございました。
もし機会がありましたら、今度はお酒を召し上がっていない時に、ぜひまたご来店いただき、ゆっくりとお話をお聞かせ頂けましたら幸いです。
その日の午後、お店に響いてきたのは、少し大きめの歌声でした。どうやら、かなりお酒を召し上がっていらっしゃるご様子で、楽しそうにJOHN LENNONの「イマジン」を口ずさみながらご来店されたのです。午後の光が差し込む店内に、その歌声が響いていました。
店内に入られたお客様の視線が、店頭に配置してあったFenderのアコギに止まりました。そして、そのギターをご覧になった瞬間、少し呂律が回らないながらも、はっきりとした口調で仰いました。
「これ、ちょうだい」
続けて、「ピックある？ 豚ちゃうで… ピックやで」と、ご自身の言葉に自分でツボに入られたのか、大声でゲラゲラと笑い始められました。その様子は、まるで子供のように無邪気で、とにかく明るいオーラを纏っていらっしゃいました。午後の穏やかな空気が、その陽気さに包まれたかのようでした。
「いくら？」
と聞かれたので、金額をお伝えすると、「うん、ちょっとお金取ってくるわ」と仰って、一度お店の外へ出られました。正直なところ、そのまま戻って来られないのではないか、という一抹の不安もよぎりましたが、信じてお待ちすることに。
しばらくして、お客様は無事にお戻りになり、「はい」とレジにお金を置いてくださいました。無事にお渡しできることに安堵しつつ、このままギターを持って帰られるのだろうか、大丈夫だろうか、と心配していた私の耳に、次のお話が飛び込んできました。
「オレは、ギターなんて弾かれへんのや。友達が、このところエライ『クサッとる』（落ち込んでいる）んでなぁ… このギターでも弾いて、元気だせ!!と言おうと思ってんねん」
そう仰って、少し照れたように付け加えられました。
「いわゆる、プレゼントや～」
その言葉を聞いた時、私の胸に温かいものが広がりました。
酔った勢いでの衝動買いに見えましたが、その根底にあったのは、友達を思う純粋な気持ちと、何か行動を起こして友を励ましたいという温かい心でした。その行動力、そして何よりも友達を大切に思う気持ちに触れ、私はこう思いました。「この方は良い人だ」。
そして同時に、見ず知らずの私に、そんな大切な思いを打ち明けてくださったこと、そしてその温かい気持ちがお店にも流れ込んできたような気がして、何か良い風をいただいたような、清々しい気持ちになりました。
まさか、町の本屋で、ある午後に、泥酔したお客様が友達のためにアコギを買っていく、そんな出来事が起こるとは…。
心より、ありがとうございました。
もし機会がありましたら、今度はお酒を召し上がっていない時に、ぜひまたご来店いただき、ゆっくりとお話をお聞かせ頂けましたら幸いです。
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