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文士と酒、煙草 : 夏目漱石

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文士と酒、煙草 : 夏目漱石

 

文士と酒、煙草
夏目漱石

 わたしは上戸党(じょう‐ご【上戸】酒のたくさん飲める人。酒をたしなむ人。とう【党】なかま。ともがら。)のほうじゃありません。一杯飲んでもまっかになるくらいですから、とうてい酒のおつきあいはできません。たいていの宴会にも出ないほうです。酒を飲んで、気分の変わる人は、なんだか※けんのん(剣吞 : あやういこと。あやぶむこと。)に思われてしようがない。いつかロンドンにいる時分、浅井さんといっしょに、とある料理屋で、たったビール一杯飲んだのですが、たいへんまっかになって、顔がほてって町中を歩くことができず、ずいぷん困りました。日本では、酒を飲んでまっかになると、景気がつくとか、上きげんだとか言いますが、西洋ではまったく鼻つまみですからね。タバコは好きです。病中でもやめられません。朝早く目ざめたときにも、食後にものみます。なるべくシガーがいいのですが、やすくないので、たいていは敷島などをふかしているのです。日に二箱ぐらいはだいじょうぶでしょう。いったい、西洋では日本人のように不規則にところきらわずタバコをのまないようです。もちろん、エリザベス時代には、物好きな人があって、寝るときに床の近くヘタバコの道具を持ってはいって、スパスパやったそうですが、これも例外のほうです。今はさようなことはしない。たいてい、食後にやるのです。 (明治四十二年一月九日『国民新聞』)

 

私の好きな文書でしてね。こういうの人間臭くって「いいなぁ~」と思うワケです。で、 (明治四十二年一月九日『国民新聞』)ってなってますから、三四郎(1908年9 - 12月)書き終わった直後ですね。

…でね、

敷島って煙草なんですがね、「うどん・そば」は明治37年には2銭ですから、私の近所の立ち食いうどん屋さんで、1杯380円から400円ですから、1銭は大体200円と考え、1904年6月29日発売「敷島」(20本10銭)は1907年には2回値上げしたので、1箱2200円-2300円はしたのではなかろか?…ということは、2箱吸うと、4400円-4600円。「やすくないので、たいていは敷島などをふかしているのです。」とありますが、当時は充分「敷島」でも、煙草を吸うコトは贅沢ではなかろか???と思いながら…ご紹介させて頂いたワケです。で、文書に出てくるシガ-は葉巻を意味している???と思っているのですが、どうなんでしょうね?葉巻は 今でもキュ-バ産などは、庶民の価格ではありませんから、当時はエライ金額したんでしょうね???

まぁ~三四郎は漱石の1日「敷島」2箱(40本)・3ヶ月間の中から生まれてきたとも考えられるワケで…実に感慨深いモノがあります。