[ Bookschannel meets Amazon | 2020年11月24日号 : 浪曲カセットテープ特集 : #天津羽衣 #京山幸枝若 春日井梅鴬 天童よしみ #広沢虎造 |
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浪曲
『浪曲(ろうきょく)は、明治時代初期から始まった演芸で「浪花節」(なにわぶし)とも言う。三味線を伴奏にして独特の節と語りで物語をすすめる語り芸。一つ30分ほどである。戦後の隆盛後、落語、講談、浪花節と並び称された3演芸のうち、急速に衰えた。概説
『浪曲の起源は800年前とも言われ、古くから伝わる浄瑠璃や説経節、祭文語りなどが基礎になって、大道芸として始まった。浪曲は主に七五調で演じられ「泣き」と「笑い」の感情を揺さぶる。時代に翻弄されつつ、いつも人々の心に寄り添ってきた芸能である。
声を出して演じる者を「浪曲師」(ろうきょくし)と呼び、三味線伴奏者を「曲師」と呼ぶ。
一つの物語を節(ふし)と啖呵(たんか)で演じる。節は歌う部分で物語の状況や登場人物の心情を歌詞にしており、啖呵は登場人物を演じて台詞(セリフ)を話す。重視する順を「一声、二節、三啖呵(いちこえ、にふし、さんたんか)」と言う。前の二つを「声節(こえふし)」と呼び、特に重要視する。
落語は「噺す」、講談は「読む」、浪曲は「語る」芸能と言われるように、聴かせ所が異なり、三味線入りである浪曲は、都市中心に盛んになった講談・落語と比べ、鉄道網の発達と軌を一にするように、当時の最新メディアである、レコードやラジオを媒介として、都市部から地方部に至るまで全国的人気を保った。歌謡浪曲から演歌へ、人気は連綿と続く。そのため演歌と共に、「田舎臭い」「通俗的」と軽蔑的に評されることもあった。反面、伝統的叙情や鎮魂の力が備わっているとも言える。
日本国内では大衆に愛された浪曲であるが、知識人による教養主義から嫌われた。特に文学者に浪花節嫌いを公言する者は多く、蛇蝎(だかつ : 人が非常に忌み嫌うもののたとえ。)の如く嫌われる。尾崎紅葉、泉鏡花、夏目漱石、芥川龍之介、永井荷風、三好達治、三島由紀夫、加えて演芸と関わりの深い久保田万太郎の浪花節嫌いは有名であった。浪花節に好意的に言及する者もおり、鴨下信一、虎造の次郎長伝に愛着を表した村松友視、2017年、処女作『おらおらでひとりいぐも』で文藝賞(第54回)を受賞し、久米宏 ラジオなんですけどにゲスト出演した作家若竹千佐子は番組内で、広沢虎造_(2代目)の影響を明言した。後に 芥川賞受賞(第158回)。演芸界では、ラジオビバリー昼ズでネタにするなど、玉川福太郎一門と国本武春を中心に浪曲を話題にし続けた放送作家高田文夫がいる。
物語の内容から、転じて「浪花節にでも出てきそうな」という意味で、言動や考え方が義理人情を重んじ、通俗的で情緒的であることを俗に「浪花節的な」あるいは単に「浪花節」と比喩する。
思わず真似をして唸りたくなる節回しという間口の広さと、その実うまくなるには鍛錬を要する奥の深さを同時に持つ。近接した芸能を(郷土芸能も含め)どん欲に取り込み、浪曲師が節の運びなどに各人各様の創意工夫をすることで発展した。節回しの自由さ、
融通無碍
( ゆうずうむげ : 行動や考えが何の障害もなく、自由で伸び伸びしていること。「五条の橋のうえで、弁慶が長刀を振り下ろすと、牛若丸はヒラリヒラリと身をかわしつつ、スキを見つけてピシャリと一撃、見事に降参させた。 この牛若丸の身のこなしのようなものだ」という。 つまり、一つの見方考え方にとらわれるのではなく、自由自在にものを見、考え方を変え、よりよく対処していく。)
ぶりが大きな特徴である。竹本義太夫が決定打であった義太夫節や鶴賀新内の新内節のような、様式を決定付ける存在は未だ出ていない。
浪曲(浪花節)の実演を表す動詞には様々あり、「うなる」・「語る」・「読む」・「うたう」・「口演する」などがある。使用する局面によって多少使い分けているが基本的に同じ意味である。
台本は存在するが譜面はなく、浪曲師と曲師の呼吸が合うかどうかが重要であり、春野恵子の説明によれば「浪曲師と曲師が舞台で繰り広げるやりとりは、「ジャズのセッションのよう」とも言われ、そのライブ感が浪曲の魅力」である。
三味線の伴奏者(相方)のうち、主たる相手は「相三味線(あいじゃみせん)」と呼ばれる。浪曲の三味線は太棹を用い、調弦は三下り(さんさがり)にする。小ぶりの撥で弾く。上方では曲師とギター奏者がつくこともある。
男女共に古くから活躍する芸能である。およそ伝統的とされる日本の芸能の中で、男女が全く対等に活躍できるものは数少ない。
テレビ時代に浪曲そのものは動きが地味で対応できなかったが、他ジャンルをブレンドして生き延びた。
現在、浪曲の定席(常打ちの寄席)は、東京都台東区浅草の「木馬亭」と大阪府大阪市天王寺区の「一心寺門前浪曲寄席」で、聴ける。他に東京では永谷の演芸場などで浪曲公演が毎月ある。
中でも、東京・渋谷で毎月開催されている「渋谷らくご」に、浪曲師が1枚必ず加えられ、若い世代に浪曲が伝わってきており、近年、長い低迷期から抜け出した。
浪花節の複雑で、結局、つかみ所のない魅力は『鵺(ぬえ)』と度々たとえられる。
日本国内(内地)から国外への殖民が戦前を中心に盛んに行われたが、それに伴う浪曲の普及は結局、日本人及び日系人社会に留まり、人種社会を超えた広がりを持たなかった。
なお、講談などの二次創作物であるかの点で争いの種は消えない。
- 以下より抜粋 -
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