日本の読者へ （2003.3.26）
開 幕
没落の問題系への回帰
フクヤマのパラドックス ―― アメリカの勝利からその無用性へ
自律性から経済的依存へ
アメリカ民主主義の退化と戦争の可能性
一つの説明モデル第1章 全世界的テロリズムの神話
文化革命
識字化とグローバリゼーション
人口革命
移行期の危機
人口動態と政治
イスラムの移行期
将来の危機 ―― パキスタンとサウジアラビア
ユーゴスラヴィアの場合 ―― 時間差的危機の重なり合い
忍耐と時の長さ第2章 民主主義の大いなる脅威
当初の人類学的多様性
可能性のあるスキーム ―― 移行期ヒステリー、 次いで民主主義への収斂
ヨーロッパ諸国 （国際） 連合
戦略的現実主義への復帰 ―― ロシアと平和第3章 帝国の規模
経済的グローバリゼーションの基盤は政治的・軍事的事由
生産から消費へ
コペルニクス的断絶の必要 ―― 「国内」 統計への訣別
不況下の世界経済にとってのケインズ的国家
アメリカ社会の 「帝国的」 変形
1990年から1995年の論争 ―― 国民国家対帝国第4章 貢納物の頼りなさ
伝統的な軍事能力不足
「帝国」 の地理
頓挫した撤退
貢納物というものの分かりにくさと自発性
オニール・ドクトリン
その日暮らしの超大国
金持ちのための国家
蒸 発第5章 普遍主義の後退
内部的普遍主義の後退 ―― 現像液としての黒人とヒスパニック
外に対する普遍主義の後退 ―― イスラエルを選ぶということ
アメリカのユダヤ人の不安
帝国は差異主義的ではあり得ない第6章 強者に立ち向かうか、 弱者を攻めるか
共産主義の崩壊からロシアの崩壊まで
巨大な外交のチェスボード
軍事的小手調べ
イスラムへの固着
アングロ・サクソンのフェミニズムとアラブ世界への軽蔑
経済的依存と石油への強迫観念
短期的解決法 ―― 弱者を撃つ第7章 ロシアの回復
ロシアの危機の人口学的パラメーター
経済の回復と国家への復帰
ロシアにおける民主主義の問題
ロシアの普遍主義
戦略的自律性
すべてのロシアの結集
ウクライナ問題
弱さが切り札となる第8章 ヨーロッパの独立
二つの選択肢 ―― 帝国に統合されるか、 独立するか
欧米間の文明の衝突
アメリカ的社会モデルがヨーロッパを脅かす
経済大国ヨーロッパ
ロシアならびにイスラム圏との平和的関係
仏独のカップル……そして愛人イングランドゲームの終り
民主制と寡頭制
行動する前に理解せよ
原 注
図表一覧
訳者解題
#本日の再Check … 帝国以後――アメリカ・システムの崩壊 | エマニュエル・トッド
Emmanuel Todd. After the Empire: The Breakdown of the American Order, 2003.
— Mats Nilsson (@mazzenilsson) 2023年10月14日
"Europeans do not understand why the US does not want to resolve the Israeli-Palestinian issue, although it has all the necessary capabilities to do so. They are beginning to ask themselves the question:… pic.twitter.com/hxPPhCYnos
フランスの知識人であるエマニュエル・トッドは、著書『After the Empire: The Breakdown of the American Order』において、未解決のイスラエルとパレスチナの状況について書いています。彼の20年前の考えは、今日でも重要です。
エマニュエル・トッドは、フランスの人類学者、歴史家、政治学者、評論家、未来派、作家です。彼の著作のいくつかは社会科学の古典となっています。彼の2003年の著書『After the Empire: The Breakdown of the American Order』では、トッドはアメリカのイスラエルとパレスチナの状況への影響を描いています。
トッドは、ヨーロッパ人がなぜアメリカがイスラエルとパレスチナの問題を解決したくないのか理解していないと指摘しています。アメリカは解決のために必要なすべての手段を持っているにも関わらずです。
「彼らは自問します: ワシントンは中東のこの永遠の緊張の源泉と、アラブ諸国に対する西洋世界への敵意の増大に根本的に満足しているのでしょうか？」とトッドは書いています。
トッドによれば、アメリカはある意味曖昧な理由から、国際的な緊張の一定レベルと限定的な慢性的戦争状態を維持しようとしているように見えます。
「今日、アメリカはもはや自国の生産にだけ頼ることはできません。世界は教育、人口構造、民主主義の安定の道を進みながら、アメリカなしでもやっていけることに気付きつつあり、アメリカはもはや他の世界なしではやっていけないことを理解し始めています」とトッドは書いています。
トッドによれば、アメリカは自身の生活水準を維持するために、政治的・軍事的な覇権を維持するための戦いを強いられています。
「アメリカは痛ましい経済的依存の問題に真のあるいは幻想的な解決策を見つけなければなりません。少なくとも象徴的にでも、世界の中心にとどまる必要があり、そのためには自身の「力」、訂正します、「全能性」を示さなければなりません」とトッドは書いています。
したがって、トッドの2003年の著書によれば、劇場的な軍国主義の出現を目撃しており、その三つの主要な要素を次のように定義しています：まず、問題は完全に解決されないため、「一つの超大国」による終わりのない軍事行動を正当化することです。次に、「マイクロ権力」に焦点を当てます。つまり、政治的に世界の中心にとどまる唯一の方法は、小国家に攻撃を仕掛けることであり、それアメリカの力を強化します。そして最後に、アメリカは「多くの面で」軍拡競争で先行するような新たな兵器を作り出すことを目指しています。
「アメリカは人々の不平等に対する信念を強めています。人類の統一性への信念はますます薄れています。変化がない限り、これらの観察結果はイスラエルにも当てはまると言えます。アラブに関する政策は、内部の経済的不平等や宗教的信念による階層化を伴っています。イスラエルはアラブを人間として見る能力の減退は、新聞やテレビを追っている人々には明らかです」とトッドは書いています。
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