門井慶喜 さんインタビュー「作家の読書道」Shareさせて頂きます。
門井:ありました。もう、読みまくりました。あんな幸せな読書はないですね。いまだにあれを超える読書体験はないくらい。幸田露伴は最初ノンフィクションが好きで、小説はやっぱり『五重塔』から入ったんですけれども、『ひげ男』という、ひげを生やした男が戦国時代に捕虜になって今にも首を斬られるという時に、自分の弁舌の力だけで斬られるのを先に延ばす話があるんです。でも彼は「自分は命なんか惜しくない」というのを、手を変え品を変え言っているだけ。文体は古風なんだけれども内容は意外と現代的なところがあって、フィクションとしてはそれが好きでした。ノンフィクションは、意外と精神論が多いんですよね。『君たちはどう生きるか』の先駆けみたいな感じです。『努力論』とかが好きでしたね。要するに努力しろという内容なんですが、露伴の荘重な文体で書かれると、感動して、線を引きまくった憶えがあります。僕、何でも線を引いちゃうんで。
マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代 (角川文庫)
- 作者: 門井慶喜
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/12/21
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る